悪いことはいわない。オンカジスロットはやめておけ。
もしいまオンラインカジノに興味を持っていて、オンカジを始めようと思っている奴がいるなら、今なら間に合う。引き返せる。やめておけ。
俺がいう「やめておけ」ってのは「お前がもし妻子持ちなら、家族のためにもやめておけ」とかそういうレベルじゃない。
そういう何かに限定された「やめておけ」じゃなくて「とにかく全員やめておけ」ってことだ。
オンカジで500万円の借金を抱えている俺が言うんだから間違いない。
もちろん、500万円の借金などというと「500万円の借金くらいでひよってるの雑魚杉wwwギャンブルやるにはメンタル豆腐すぎでしょwwww」みたいなギャンブル中毒からの煽り意見が出てくることもわかっている。
だが、申し訳ないが、そういうギャンブル中毒の連中に対しては、俺は金銭感覚がバグってるだけだとハッキリと言いたいし、それで雑魚認定されようが、500万の借金と返済の日々の苦しさに比べたら、痛くも痒くもない。
借金額はオンカジギャンブラーの勲章ではなく恥である
借金額ってのはギャンブラーにとっての勲章でもなんでもない。俺の500万円という借金額は、誇れるものではなく、完全なる「恥」の数値でしかない。
最近はクズ芸人なんてのがもてはやされて借金額の高さを自慢するような流れが出てきているし、三桁の借金を「かすり傷」扱いすることでイキることには、ある種の「マウント」をとる快感があるかもしれない。
だが、俺はそういう借金額でのマウントの取り合いからは降りさせていただく。そして、オンカジはやめておけ、と言いたい。
どうぞ、俺のことを雑魚扱いして、借金額を増やすことでギャンブラーとしてのプライドを勝手に高めていってください、といったところだ。
とはいえ、ただただ500万円という借金額だけを出して「やめておけ」といっても「じゃあ、やめよう」と思うやつはそんなにいないだろう。
というわけで、自分への戒めも兼ねて、少しでもオンカジの被害者を減らすために俺の失敗談を書き残すことにした。
これは俺の反省文でしかないのだが、それを通して一人でも多くオンカジをやめてもらえるならば、俺の救いがたい失敗も少しは報われるかもしれない。
パチスロ好きはオンカジのスロットで沼にはまっていく
まだオンカジで遊んだことがなくてパチスロが好き、というやつは、オンラインカジノの沼に足を踏み入れる可能性があり、危険だ。
俺がまさにそのパターンだった。
そもそも、俺はギャンブルにのめりこむタイプではなく、空いた時間にパチスロを打つくらいのライトなパチスロ好きでしかなかった。
パチスロで遊んでいたころは「負け」はかなりあったとはいえ、借金をこさえるということはなかった。
長距離トラックの運転手という俺の職業柄、パチスロで遊べる空き時間がそれほど多くはなかったってのも大きかっただろうし「ちゃんと負けていた」のがでかかったな。
運ちゃん仲間のなかには、パチンコ・パチスロの借金で身を崩してるやつもいたし、奥さんとの関係が悪くなってる仲間なんかを見ていて、俺はむしろギャンブルとは適当なつきあいをしていこうって感じでもあった。
そんなゆるめのパチスロ好きの俺が冷静さを失い、500万円の借金を抱えるほどの沼から抜け出せなくなるのだから、やはり、オンカジはやめておけとしか言いようがない。
ボーナスのためにスロットで遊ばされるのが沼の入り口
オンラインカジノがパチスロ好きにとって危険なのは、初回ボーナスを回収するためには半ば強制的にスロットで遊ぶしかないからで、そこにオンカジ沼の入り口があると俺は考えている。
オンカジっていうと、スロットっていうより、バカラとかブラックジャックとかルーレットみたいな「ライブカジノ」の印象が強いかもしれないし、俺の借金もほとんどはこのライブカジノでの「負け」が重なってできたものだ。
もちろん、スロットでも借金を作ってはいるのだが「パチスロ好きをオンラインカジノ沼に引きずりこむ」というのが、なんといってもスロットの持っている怖さの本質だと思う。
俺以外のオンカジのプレイヤーを見ていると、ライブカジノ以上にスロットで借金まみれになっている奴もいるから、もちろん「スロットの当たらなさ」も問題ではある。
だが、今回は、まずは「スロットでオンカジに引きずりこまれる」ということの恐怖と、その仕組みについて書いていくことにしたい。
賭け条件を満たすためにスロットを打たなければならない
パチスロ好きがスロットで沼にハマる流れを理解するためには、オンカジに設定されている「賭け条件」の仕組みを知る必要がある。この「賭け条件」の存在によって、パチスロ好きはスロットの回転を避けることができないからだ。
「賭け条件」というのは、オンラインカジノの「ボーナス」を現金化して出金するために満たさなければならない条件のことだ。
オンカジは「登録無料」だとか「初回ボーナス配布」などの甘言でプレイヤーを登録させ、オンカジに誘い込むのだが、ここに「パチスロ好き」を地獄の階段へと突き落し、底なし沼に頭から突っ込ませるような罠が仕組まれてもいる。
ボーナスという甘い蜜に仕掛けられた巧妙な罠、それが「賭け条件」である。
ボーナス消費のために必要な賭け額の倍率という義務
「賭け条件」というのは、おおざっぱにいえば「与えられたボーナス金額の何倍ベットしたか？」という「倍率」のことで、その倍率分のボーナスを消費することで「条件」がクリアとなる。
たとえば、50ドルのボーナスが配布されて賭け条件が「1倍」だとしたら、50ドル分のベットをすることで「条件」が満たされて、出金が可能になる。
で、これが「30倍」だったならば、配布されたボーナスを利用して勝負に勝っていきながら1500ドル分のベットをすることで「条件」がようやく満たされる、という計算になる。
賭け条件が甘いとか厳しいってのは、この「現金化」のための倍率の話であって、まあ、簡単に言えば、条件が厳しければ厳しいほど、とにかくたくさんスロットを回転させなきゃならない。
いや、回転させられるだけならまだいいんだが、とにかく勝ちを重ねて、もらったボーナスを増やしていかなければならないという「義務」が発生するのだから、まったくタチが悪い。
消化率の存在がスロットをオンカジの義務にさせる
賭け条件には「消化率」と呼ばれる項目がある。この「消化率」の存在が「ライブカジノ」ではなく「スロット」をオンカジの「義務」にするために大いに役立っている。
「消化率」というのは「ベットしたボーナスがどの程度、賭け条件のために消化されたか」ということを決める率である。
「消化率100％」のゲームに50ドルをベットした場合は「賭け条件のために50ドルを使用した」と判断され「消化率10％」のゲームに50ドルをベットした場合は「賭け条件のために5ドルを使用した」と判断される。
オンカジにおいて消化率100％のゲームはスロットである
これはつまり、効率よく確実に賭け条件を満たしていくためには「消化率100％」のゲームを選ぶ必要があるということを意味している。で、オンカジにおいて「消化率100％」のゲームというのは、ほかでもない、スロットなのである。
ちなみに、オンカジのライブカジノ（バカラ、ブラックジャック、ポーカー、ルーレットなど）の消化率は、大体10％～15％あたりが相場だ。
低い消化率で賭け条件を満たそうとするオンカジのプレイヤーはゼロではないものの、限りなくゼロに近いといっていい。
スロットがオンカジ登録初期のプレイヤーにとって「義務」になるのは「賭け条件」と「消費率」のかねあいによって「スロットを打つことでしか出金条件を満たせないため」なのである。
スロットの義務と勝利体験がパチスロ好きにとっては危険
パチスロ好きにとってスロットが危険であり、オンカジにのめりこむきっかけとなるのは、スロットが「義務」になってしまうからだし、プレイ初期段階にある程度の勝利体験が得られてしまうからだ。
とりわけ、俺の体験として、オンカジ登録初期の「勝利体験」のほうがより大きな危険性をはらんでいると思う。
ビギナーに対して、はじめのうちの何回かあっさりとした「勝利」の感覚を与えておいて、その味を覚えさせてから、あとはどうやっても勝てないようにするだとか、勝たせながら最終的にマイナスにしていく、みたいな戦略は「胴元」の基本だ。
たとえば、『カイジ』のチンチロリン編のライバルである「班長」なんかは、このやり方で相手を支配し「胴元の恒常的な勝利」の確実な地盤を築いていたことなどを思い出すとわかりやすいだろう。
オンラインカジノのスロットが「義務」になることが危険なのは「胴元」が見えにくい、ということにある。
これがライブカジノであれば、ある程度は「胴元」の戦略が見えたり、あっさりとした「勝ち」に疑問が生じもするのだが、スロットの淡々としたランダムな「勝ち」の積み重ねは、その感受性を麻痺させる傾向がある。
ボーナスを出金させることはオンカジ側の罠である
オンラインカジノがボーナス出金のためにスロットでそこそこ勝たせておく、というのは「胴元」の罠である。
賭け条件は「満たせないこと」より「意外と満たせてしまうこと」のほうに、より危険性があるのだ。
「なんとなくスロットをまわしていたら、なんとなく勝ててしまった」という成功体験を与えられることは「勝って取り戻せる」という甘い勘違いを植えつけられることにしかつながらない。
俺の場合は、真夜中パーキングエリアの休憩時間にだらだらとスロットを打っていただけなのに、あっさりと賭け条件を満たしてしまったことがよくなかった。
義務として回していただけのスロットを通して「あれ？オンカジってパチスロより簡単に稼げる？」という勘違いをしてしまったのが、俺の「終わりのはじまり」だった。
俺はこのときの「ボーナス出金」が、500万円の借金という地獄への六文銭でしかなかった、ということには、まだ気づいていなかったのだ。
